新卒一括採用の終焉?経団連の指針廃止がもたらす変化を考える

留学生 就職

2018年10月9日、日本経済団体連合会(以下経団連)が、大手企業の採用面接の解禁日などを定めた指針を2021年春入社の学生から廃止すると決定しました。

経団連会長がすでに廃止を匂わす発言をしていましたが、それが確定事項となった格好です。

ルールの形骸化が叫ばれルール廃止を訴える声があった一方で、このルールがあることで大学生が(少なくとも就活開始のタイミングまでは)学業に専念できるという理由からルール維持を求める声があるのも事実です。

他方、海外の大学に進学した留学生にとっては、このルールが就活の上で大きな足枷にもなっていました。

そこで今回は、就活ルール廃止がもたらす影響について、複数の視点から検討してみましょう。

新卒一括採用は崩れるのか?

日本の就活において最も特徴的と言える、横並びの新卒一括採用。

今回のルール廃止により、それがいよいよ終わりを迎えるのではないかとの声があります。

新卒一括採用が始まったのは実は明治時代とも言われており、第一次大戦後の不況が本格的に広まるきっかけだったとされています。

始まりから数えれば100年以上もの歴史がある新卒一括採用、今回のルール廃止で本当に崩れゆくのでしょうか?

 

実際には、話はそう簡単ではありません。

まず就活ルール自体は、必ずしもデメリットばかりではありません。

これは経団連に属しない外資系企業がすでに始めている取り組みですが、大学1年生からインターンとして採用し、自社で勤務をさせているという事例があります。

学ぶことが目的で大学に入ったはずなのに、入ったその年から企業に属し、働く。

それは正しい姿でしょうか、学生にとってそれは本当に将来のためになるのでしょうか。

大学側がルールの維持を求めるのも、やむなしと言えるでしょう。

企業側からしても、この手法は諸刃の剣です。

インターンで育てた学生が大手企業の内定を得て、結局そちらを選んでしまうという話も珍しくありません。

育成のためにかけたコストが失われるばかりか、貴重な人材が流出してしまう結果にもなり、体力のない企業にとっては死活問題です。

就活ルールは、(等しく守られるという前提があればこそですが)こういった問題を避けるという点では、双方にメリットがあるものと言えるのではないでしょうか。

 

もう1点、新卒一括採用は企業側にとっては、とても効率のいい採用活動です。

いわゆる就活ナビサイトの普及も手伝って、新卒採用におけるスキームやプロセスは確立され学生にも定着しています。

それらに慣れた国内企業にとっては、ルール廃止と言われても、それまでのやり方を捨てることは難しいでしょう。

どうやって学生を集めればいいのか、途方にくれるかもしれません。

そんな国内企業が多数となれば、結局ルール廃止後も暗黙の了解のもと新卒一括採用が続けられるのではないでしょうか。

 

また、新しいルール策定は政府主導で行うということになるそうです。

経済界側と大学側双方の声を受けて政府がルールを策定すれば、結果同じところに落ち着くのではという見方もなくはありません。

そうなれば、結局採用活動には大きな変化は見られない可能性もありますね。

留学生にとってはチャンスが広がる可能性大

さて、視点を変えて、海外で学ぶ日本人留学生にとっては、このルール廃止はどうでしょう。

 

まず、外資系企業への就職を狙う留学生には、はっきり言って関係ない話かもしれませんね。

就活ルールは経団連に属する国内企業の為のもので、外資系企業の多くはそのルールの枠外です。

前述の通り、多くの外資系企業は就活ルールで定められた開始日よりも前からインターン募集を始めるなど、採用活動を開始しています。

これは就活ルール廃止後も、大きな変化はないでしょう。

ただ、国内企業の採用活動変化に合わせて、外資系企業も動きを変えてくる可能性は十分にあります。

事前の調査は怠らないようにしましょう。

 

次に、国内企業でも中小企業やIT企業への就職を検討している留学生にも、あまり影響はないかもしれません。

というのも、IT企業は外資系企業と同様経団連に属していない企業が多く、就活ルールにあまり縛られていません。

ですから、ルール廃止が採用活動に大きな変化をもたらすことはないでしょう。

一方、中小企業は、人材不足の折、採用活動にも苦労しています。

応募が集まらず、事実上の通年採用となっている企業も少なくありません。

また、大手ほどの体力もないことから、ルールが廃止されたからといって採用活動を前倒しすることも難しいでしょう。

そういった理由から、ルール廃止前後でも採用活動に大きな変化はないのではと考えられます。

 

影響が出るのはやはり、国内大手企業への就職を目指す留学生でしょう。

現状の就活ルールという枠組みは、留学生にとっては不利なものでした。

短期間の間に集中的に開催される説明会や複数回に渡る面接に、海外から応募、参加するというのはなかなかに困難です。

しかし、それらが多少なりとも分散し、また外資系とも真っ正面から人材を取り合う関係が出来上がれば、門戸と選択肢が広がり留学生にとっては国内企業にエントリーするチャンスが増えることでしょう。

また、新卒一括採用を取りやめる、またはその割合を減らす企業が出てくることも十分に考えられます。

そういった企業が通年採用にシフトすれば、海外の大学に通う留学生にとってもチャンスの拡大が期待できます。

大きくは変わらないかもしれない、でも確実に変化していく

まとめると、

  • 外資系や国内中小企業への就職を目指す留学生には大きな影響なし
  • 国内大手企業への就職を目指す留学生にはチャンスの拡大が期待できる

という風に現時点では予想できます。

ただし、政府主導の新ルールによっては、この予想も変化するでしょう。

 

いずれにしてもはっきりしているのは、外資系企業や経団連に属しない若い企業が増加する中で、新卒一括採用に頼った採用活動は今後確実に変化していく、ということ。

平成が終わりを迎え、東京五輪も迫り、グローバル社会の波が確実に押し寄せている現代の日本は、さらなる激動の時代に突入することは間違いありません。

その先頭に、留学経験者に立ってほしい。それがTIP TOP JOBの願いです。

 

海外で学ぶ日本人留学生の皆さん、卒業後日本での就職を目指すならば、アンテナを常に張り巡らせ、情報収集は怠らないように心がけましょう。