【世界で戦う日本人に聞く】新興国ビジネス論vol.4 – 経験や能力を信じて、自分に正直に働こう!

世界で戦う日本人に聞く 新興国ビジネス論vol.4 経験や能力を信じて、自分に正直に働こう!

各国を渡り歩き、まさに前線で戦う日本人経営者や起業家の皆さんに、TIP TOP JOBの荒木隆がお話を伺うインタビューシリーズ、「世界で戦う日本人に聞く」。
全4回に渡って「新興国ビジネス論」と題して、世界を股にかけて活躍する日本人経営者であり越境会代表の石田和靖さんにお話を伺います。
最終回のテーマは「経験や能力を信じて、自分に正直に働こう!」。
「留学経験者の大半が満足に働けていない」という衝撃のデータから、留学経験者はその経験をどう捉えどう活かすべきかなのか。
世界を知る二人が留学経験者へ送る熱いメッセージ、必読です。

新興国ビジネス論vol.4 – 経験や能力を信じて、自分に正直に働こう!

目次

留学経験者の大半は満足に働けていない?
留学経験者を採用したい会社は世界中にある

荒木:今回のテーマは、ちょっとフランクです。私が代表を務めているTIP TOP JOBというのは、海外留学経験者の就職・転職支援を行っている会社です。なぜこのような会社を立ち上げたかというと、留学経験者の大半の人は満足に働けていないというデータがあるんですね。それはどうしてなのかを考えていくにおいて、日本の企業と海外留学経験者が馴染んでいないのではないかということを思っています。

実際海外を経験されている石田さんから見て、このようなデータに対してどうお考えですか。

石田:意外といえば意外だし、腑に落ちる部分もありますね。これは3回やってきた中でも話題に出てきたと思うんですけど、日本の企業がまだまだ追い付いていないんじゃないかなと思うんです。

どう考えても、世界を見ると海外経験者って重宝されているわけなんですよ。なぜなら、多様性や決断力、リーダーシップが備わっていて、人と違う経験をして、人とは違う文化圏のところに行って新たな経験を吸収している人間ですよね。そういう人材を欲しいという企業は、世界には沢山あるんです。僕もそういう企業を沢山見てきています。

1回目に話した中東の企業は、まさにそうです。一つの会社の一つの部署にいくと、10人が全員バラバラの国籍で、意見を出し合ってぶつかり合って新しい会社を作り上げる。そんな例はいっぱいあると思うんですけど、日本ってそうじゃないですよね。日本人の文化の中で固まって、さらに言うと出る杭は打たれるし、右へ倣えというような人材が重宝されている。高度経済成長時の一億総中流の時代が、それを作り上げてきたと思うんですよ。

昔はそれで良かったけれど、今はそうじゃない。だから、そういう日本の企業がついてこれないんじゃないかなと思うし、留学経験者の皆さんがそこに合わせる必要はないと思うんです。世界の中の日本と考えたら就職先なんてわずかなものだし、地球全体で考えたら留学経験者組を採用したいと考えている会社は世界中に沢山あるんですよ。それならば、そっちに目を向けて、自分たちの経験を研ぎ澄ませて、もっともっと自分の留学経験を砥石で研いでやる。もう一回留学行くかとか、その国の人間と毎週飲み会やるかとか、そのぐらい尖がったものがあった方がいいんじゃないかなと思うんです。もったいないと思うんですよ、怖気づいていたら。

荒木:そうは言っても、いい人材がどんどん外に出てしまいますよね。留学経験者も日本人なので、日本が沈んでいくのを外から見ているのは心もとないと思うんです。だから、僕らの気持ちとしては、良いものを持っているから日本の復興にその力を活かしてほしい、という思いはありますね。
石田:それが一番いいですよね。グローバル展開しようとしている企業に、海外留学生を入れるのが一番きれいです。

尖がっている自分を隠す必要はない
肩書よりも自分のパーソナリティを重要視すべき

荒木:ただ、今おっしゃったように企業側が追い付いていないので、日本独自のルールに押しつぶされてしまって、いいものを持っているのに不満を持ちながら働いているのが、今お話ししていた日本の状況だと思うのです。

では、もう少し踏み込んでお聞きしたいのですが、海外留学経験者だとしても日本人は畏まってしまいますよね。日本流に合わせようとしなくてもいいんじゃないかと僕は思っていて、日本の企業にいながら、石田さんのおっしゃった留学経験者の尖がっているところを出しながら働く方法はないものでしょうか?

企業も変わっていってるとは思うんです、ありきたりの人材ばかり取っていっても仕方がない、という風に感じていると思っているんです。でも、今そこの歯車がかみ合っていなくて、企業側も求職者側も変わってきているのに、留学経験者は日本に帰ってきたら日本流に合わせないといけないと思い込んで、変に怖気づいてしまうところがあると思うんです。尖がっている自分を隠すというか。
石田:そこは、怖気づいて隠す必要ないと思うんですけどね。

荒木:これからの時代は、そんな時代でもないと思いますよね。
石田:だから、どこの国でどんな経験したかを発信したほうがいいし、研ぎ澄まさせたほうがいいと思います。それで認めてくれる会社もあると思うんです。日本では少ないかもしれないけれど、増えていることは確かです。

2020年には東京オリンピックもあることだし、少子高齢化に伴う介護人材で、フィリピン人やインドネシア人がごっそりやってくるわけです。そうしたら、そういう人向けの商品やサービスなども必要になってきますし、日本の国で外国人に接する機会が増えてくるんですよ。減っていくことはないです。海外進出するかしないか以前の問題で、必然として日本にいながら外国人に対してサービスを提供するとか、商品を提供するとか、コミュニケーションを取ることが増えてくる。その状況からは逃れられないのです。その中で外国が苦手とか、イスラム教が怖いとか言ってられないと思うんです。そういうような宗教や文化や生活習慣を理解して、そこをうまく接着剤でくっつけていく人材は間違いなく必要でしょう。

荒木:まさしく黒船がやってきた、という感じですよね。
石田:でも、「黒船を倒すぞ!」という話ではないですよね、黒船とどうやって共存していくかってことが、今の国際社会において必要です。

荒木:海外留学経験者の意識を変えるといいんじゃないかと思うことが一つあって、黒船がやってきたときに民衆は「次の時代に行く!」と思った人がいっぱいいたと思うんです。でも、幕府は体制を守ろうとしたわけじゃないですか。それを今の現代に置き換えると、徳川幕府は大企業で、変わっていくのが早かったのは個々の人間であったと思うんですね。

海外留学経験者は、自分の尖ったいいところを仕事に生かそうと思うんですけど、なぜか幕府に行ってしまうんです。そして幕府からはねられてしまう、それで心が病んでしまうんですね。僕が思うには、大きな会社に入ったからといって、安泰度は変わらない。自分の尖がった良いところを拾ってくれるのは、大企業ではなく、これから発展していく企業やベンチャー企業の場合が多いわけです。そのような企業に、海外留学経験者が自分の能力を持っていけたらいいなぁと思っているんです。
石田:求職者、留学経験者組に伝えたいことは、肩書よりも自分のパーソナリティを重要視した方がいい、ということですね。みんなが知っている企業名の課長っていうような肩書よりも、自分自身のパーソナリティ、個性を売り込んで、それを認めてくれる、そんな職場で仕事をする方が絶対良いと思うんですよ。

荒木:そういう勉強をしてきたはずなのに、成田空港に降りた途端に日本仕様になっちゃうんですよね。ある意味では、日本人の能力と言えるのかもしれないですが。
石田:今、決して大企業も安泰なわけではないし、自分の能力が発揮できないままストレスで病んじゃう人もいます。それよりは、自分の能力とか経験を信じて、自分のパーソナリティを売り込んでいく方が楽しいし、面白いし、仕事でも絶対成長すると思います。ビジネスでも何でもそうだけど、楽しいものって続くと思うんですよ。逆に楽しくないものって続かないですよ。だから、ただ大企業に入りたいと、会社で何をやりたいかよりも企業の名前で選んじゃうと、何か月か働いて「こんなはずじゃなかった」となって辞めてしまう人もいっぱいいると思うんですよ。

そうではなく、何が好きなのか、何がやりたいのか、自分のパーソナリティをドンと押し出せるような場を、見つけた方がいいと思うんです。そういう場を見つけるために、自分の経験とか能力、留学時代に何をやってきたのか、どこの国の誰とどんなことをやってきたのか、何を作ってきたのかっていうのをもっと発信するべきだし、アピールするべきだと思います。

それは貴重な経験ですよ、他の誰にもできないようなことを彼らはやってきてるわけですから。そこはどんどん研ぎ澄ませるべきですよ。

自分と経験に自信があるならお利口でいなくていい
日本国内だけでどうにもならない時代が目の前に来ている

荒木:今からもう5年も10年もすれば、きっと日本の状況もだいぶ変わると思うんですよね。その時には、多様力のない人間が働ける世の中ではないでしょうから。
石田;この間、荒木さんが「すごい情報発見!」と言って、「クウェート大学 日本人大学生募集」というのを送ってくださいましたよね。それを他の人は、本当にすごく良い情報だと思うのかどうか。ほとんどの人は、そう思わないと思うんです。でも荒木さんは、「こんなお宝情報が!」と言って、送ってこられたんですよ。しかも(募集人数)たった5人だけ。

荒木:奨学金もくれるんです。
石田:そう、お金もくれて、たった5人の日本人を留学生として受け入れたいと、クウェートの外務省が発表したんですけども。そういうところに行って、アラブ人のコミュニティに入っていって、日本人としてこんな経験をしてきましたというのは、間違いなくこれからの社会、日本、日本だけでなく世界で求められると思います。

とくに2020年のオリンピックを目指して、段々国際化が進んでいく中で、アラビア語が喋れる人材、アラブの生活、歴史、習慣や文化を知っている人材、彼らと人脈を持っている人材は、商社マンでもない限りそうそういない。そういう人材を採用できるチャンスがあるわけですよ、日本の企業からすれば。そういうのを、本当に皆見逃してますよね。

荒木:その時代に履歴書を書くのか分かりませんけど、日本の◯◯大学出ましたっていうより、クウェート大学出ましたっていう方が「なんだこいつ!?」ってなりますよね。
石田:目立ちますよね、尖がってる。

荒木:そこからじゃないですか、「何できるの?」って聞かれて「言葉ができます」と。皆でそこでこんなことしてましたと、話を聞いてもらえる素地ができますよね。そんな人材を、今はなかなか活かせないかもしれないけど、これからは日本の企業もどんどん採っていかないと、戦えないと思うので。
石田:戦えないっていうより…、負けると思うよ。

荒木:だから、自分に自信があれば、経験に自信があれば、日本人っぽくお利口ちゃんでいなくてもいいと。
石田:地球人でいいんじゃないでしょうか、あなた何人ですか?って聞かれたら「日本人のアイデンティを持った地球人です」と。そういうスタンスでいいと思います、そうすればチャンスは世界中に転がっていると思いますからね。

荒木:そういう人たちが日本企業にどんどん入ってくると…。
石田:日本はもっと盛り上がってくるね。

荒木:そうなれば、日本の経済学者が言うほどダメにはならないと僕は思うんです。
石田:日本の企業が外国で活躍できて、外貨を稼ぐようになれば、日本も捨てたもんじゃないなと思われるようになりますからね。

荒木:世界中に日本企業があって、そこに尖がった日本人がいる、というのが良いですよね。中国の華僑のように、色んな方面にパイプがあって、ここにもあそこにも日本人がいるってなると、ビジネスが円滑にできますよ。
石田:それが一番です。中国はそれをやってきたんですよね。でも、例えばアフリカやアゼルバイジャンに行くと、現地に日本人はいないですよ。中国人は必ずいますけどね。

荒木:それは何故なんですかね。そこはやはり、日本人のネガティブ要素があるんでしょうか。
石田:やっぱり、日本国内だけで何とかなると思っている人が、まだまだいるんですよ。これまでは何とかなってきましたけど、そうじゃなくなる時代が、もう目の前まで来ているんですよ。だからもっと、内向き志向ではなく、外向き志向になっていくべきですね。

荒木:だから、どの段階で海外留学をされたか分からないですけど、皆が行く道に行かずに、海外留学という真逆の道を取ってみようと思ったときの初心を忘れずに、毎日仕事をするときもその尖がった気持ちを忘れずに、働いていける時代がもう来てますね。
石田:時代が追いついてきます、すぐに。日本の企業も、慌てふためいて追い付いてきますよ。このままじゃいけないと。

留学人材=英語人材はもったいない
「日本の企業がついてこれていないんだ!」と思え

荒木:企業に対してというのもありますけど、「自分に正直に働こう」ということを、これから留学生に対してもっと広めたくて。せっかくいいものを持っているんだからね、っていうことをね。それがなかなか認められなくて、自分でいいものを持っていると思っているのに、自信を無くしてしまう。もしくは「お前は英語だけ喋ってればいいんだよ」みたいな扱いを受ける。
石田:それはもったいない。

荒木:ですよね、そうじゃなくてっていうところがあるじゃないですか。
石田:結局、留学人材=英語人材って思われがちだっておっしゃいましたよね。それじゃもったいないでしょ。留学人材がすごいのは、英語を喋ることよりも、突破力とかガッツですよ。あと多様性とか。
だから、新しいことをやれたりとか、アイデアを出せたりとか、チームを取りまとめたりとか。いろんな能力があるのに、通訳人材としてだけっていうのは、もったいないですね。

荒木:「実ビジネスは俺らがやる、でも言葉が分からないから、お前留学生なんだから通訳だけしろ。ジャッジメント等は俺らがやるから」っていうのは、日本の風潮にまだ根深くあって。そういう仕事の与えられ方をされることによって、「自分は正式な一員じゃないのかな」と思ってしまう。
石田:「こんなはずじゃなかった」と。

荒木:そう、そうやってどんどん自信を無くさせてしまっているというのが、現実としてここ最近よく聞く話です。
石田:でも彼らは、企画や営業、提案等でものすごい威力を発揮するんじゃないかなと思うんですよ。とくに、外国との交渉事とかね。それも、上司が日本語で話すことを翻訳しろじゃなくて、本人に交渉させる方がいい。相手の温度感であったり交渉に必要な細かいニュアンスが分かってると思うから、そういう事をやらせた方が絶対面白いと思うんですよ。

荒木:語学力評価もそうなんですけど、日本人ってすごく英語が出来ないと、英語を喋れますとはなかなか言わないんです。

今日、僕は東京駅からここまで来る時にUberに乗ってきたんですけど、運転手が中国人だったんです。で、日本語を喋るんですけど…。全然喋れますよ、喋れるんですけど、タクシーの運転手としては日本人のレベルで言えば、もうちょっと喋れた方がいいんじゃない?というぐらいの日本語力でした。でも彼は、Uberの運転手をやっているんですよ、日本で。その図太さが、日本人にはないんですよね。
石田:控えめだからね、日本人はね。

荒木:「外国人の方多いですか?」と聞いたら、「僕も外国人なんですよ」って言うんですよ。でも日本でちゃんと免許を取って、タクシー会社に雇われて。しかも普通のタクシーじゃなくて、Uberに乗ってるんですよ。すごい時代だなと思いますよ。

その運転手と同じだけのポテンシャルで勉強していて、同じだけの能力を多分日本人海外留学生は持っているんですけど、出すときにトーンダウンしちゃうんですよ。
石田:そこはやっぱり、日本の企業だけを見るのではなく、幅広く見た方がいいと思いますね、留学生は。

荒木:東京なんかは、日本にあっても外資系はいっぱいありますしね。
石田:とにかく、本当にもっと、自信を持った方がいいですよ。「日本の企業が俺たちについてこれていないんだ!」と、そういうような思考になったほうがいいですよ。絶対時代がついてきますから。そう思います。

石田和靖 プロフィール

株式会社ザ・スリービー 代表取締役
越境会会長、WITV総合プロデューサー、香港政府観光局 香港経済観光大使、Halal news副編集長

会計事務所勤務の際、中東~東南アジアエリアの外国人経営者の法人を多く担当。 その後2003年に(株)ザ・スリービーを設立。年に十数回、香港・タイ・UAE など各国を訪問し、香港やドバイ、サウジアラビアの証券会社、政府系ファンドなどに太いパイプを持つ。

海外投資SNS「ワールドインベスターズ」や、世界経済・投資・ビジネスの動画サイト「ワールドインベスターズTV(WITV)」など、海外のビジネス・投資及び国際理解教育に関するメディアを企画・運営。

2013年には、世界に羽ばたく人たちのためのクロスボーダーコミュニティ「越境会」を発足、会長に就任。世界の真の情報や人脈、機会を共有する会をメンバーシップ制で運営。世界を駆け巡り、日本人のチャンスを探りながら、現在に至る。